ドライヤー×2

ユーロスペースの会員になって、カール・ドライヤーの「ゲアトルーズ」と「吸血鬼」を観てきました。いや〜あ、ゲアトルーズ。何の前知識も無く、なんとなくの偏見で、まあそこそこできた映画なんだろう、でももしかしたら退屈かも、くらいのつもりでいたら、ものすごく映画らしい映画で、しかも演技も撮り方もテンポも、そしてセリフも、全て素晴らしくて度肝を抜かれました。ドラマ映画のお手本のような作品でありながら、それだけに収まらない、なんともいえないアウラ(とでも言いたくなるようなもの)が最初から最後までビンビンに出ていて、本当にびっくり。これ、昔観てたらただのメロドラマ?と考えてしまわなかったとも限らないのですが、今の私にはストーリーとしてもとても面白かったです。ドライヤー氏が無声時代から(!)映画化に御執心だったというのも、よく分かります。ヴィスコンティーの「イノセント」はムンムンしていて「監督、枯れませんねえ」という感じでしたが、こちらは低温火傷しそうな感じでした。吸血鬼も、いろいろとつっこみたくなる所がたくさんありながらも、まるでブラザーズ・クエイの「ベンヤメンタ学院」を思わせるような重厚であやしく美しい映像もまた素晴らしかったです。あの、プリンスと誰かを足したような青年が幽体離脱(?)して棺桶に入れられるところとか、なになになに?という感じでしたが、村医者が粉に埋もれるところとか、最初ドリフみたいで思わず笑いそうになって、だんだん恐くなってひえー、と思っていたら、また最後の眼鏡シーンで笑いそうになりました。なんか、2本もまとめて観てしまったのはちょっともったいなかったです。今度は「怒りの日」を観てきます!ああ、フィルムセンターにも行っておけばよかった、、、。