BATIK(黒田育世)「花は流れて時は固まる」@パークタワーホール

いとこのカンパニー初の単独公演を観て参りました。これまでもずっと観たいと思っていたのですが、いつも何かと都合が合わず、結局彼女が踊っているのをみるのは、子供の頃に彼女がくるみ割人形かなにかの舞台で踊っているのを観て以来(18年ぶりくらい?)でした。
で、今日の公演ですが、仕事で忙しい友人らも誘った手前、期待すると同時に正直かなりドキドキしていたのですが(ピナ・バウシュの昨年の公演も相当イマイチ感が否めないようなものでしたから)、結論から言うと、素晴らしい、のひとことでした。要所要所での構成や選曲、そして何より激しいだけでない、抑制の効いた、そして同時に強くて優雅な彼女のソロは本当に素晴らしかった。
一時間という時間の中で、見事に緩急メリハリのある流れが作り出され、また時として「ダンス」をみていることを忘れるよう促すような「動き」や「身振り」を提示することで一層身体を意識させさせられるという巧みさ。
公演後のトークで、最後のシーンが一番最初に頭に浮かんだ、と言っていましたが、深い青色の服を纏ったダンサーたちが高く組み上げられた足場から次々に飛び降りていく前でソロを踊る彼女は、ひたすら何かに向けて突き動かされる青い炎のようで、鳥肌が立ちました。
中盤の胸を隠しながらのラインダンスも、「胸を隠しながら」というもどかしさの中からのおかし味を最大限出しながら、そのもどかしさゆえに、次の意表を突くような大胆な爆発へとすんなりと観ている者を持って行くことができたのだと思いました。今まで隠していた胸も露わに、長い鎖をぐるんぐるんですから。あれは普通にびっくりしたし、爽快で、面白かった。全体の流れの中で良くも悪くもアクセントになっていて、結果として作品に風通しの良さを与えていたように感じられました。
ただ、花びらや鈴、水など、小道具の使い方も良い所はとても良かったのですが、なによりも構成やダンスそのものであれほど魅せることができるのですから、そんなに細かい小道具へのこだわりは必要なかったのでは、とも感じました。まあ、それが分かり易さを与えている事も事実だと思うのですが。
全体的にとても女性的な匂いの濃厚な作品で(全員女性だから当然と言えば当然ですが)、良い意味での息苦しさと同時に妙な心地よさを感じてしまいました。別の作品も是非観てみたいと思ったのですが、とりあえず前回見逃した「SHOKU」がまた8月に再演されるようなので、そちらが楽しみです。