米とジンギスカン

pansar2004-09-09

先日ようやく華氏911を観て参りました。
映画に関しては既に大量の言説が出回っているので今更なにも言うことはありませんが・・・それにしても、笑えるどころか、凄まじく暗い気分になりっぱなしでした。ブッシュをバカにしている、ということより、とにかく普通の人だったらただただ無力感を感じながらせいぜい嘆いて見せるだけの、どうにもならないけどどうにかしなければならない巨大な流れを前に、少なくとも必死に叫び声をあげて抵抗し、なんとか注目を集めようとしているような悲惨さ(と恐ろしいまでの危機感)を感じてしかたありませんでした。
ドキュメンタリーだプロパガンダだということはおいておいても、そのまま捨て去られて忘れ去られたくないような現実のかけらをなんとか救い出して、それを最大限効果的に多くの観客(受け手)に見せる(そして何らかの感情を引き起こす、笑わせる、考えさせる、・・・)、というのは、あらゆる表現(もちろんジャーナリズムも然り)のひとつの有意義な目標でありうると思いますし、この作品は現在のアメリカの状況下でそれを成し遂げたということを考えるにつけ、素晴らしいと素直に思いました。
私がアメリカに関するものを読んだり見たりするたびに直接思い出すのは、なにより高校時代に行ったサウスカロライナジョージア州での留学の日々ですが、私がホームステイしていたホストファミリーの一つは、片田舎の中(下)流、家族全員高卒(夫はトラック運転手)、カントリーミュージック好き、子供たちがどこよりも連れて行ってくれるように頼むのは車で20分くらいのショッピングモールもしくはその近くの複合映画館(アクションやコメディーが必ず1つは上映中)、ウォルマートへの買い出しがちょっとした楽しみ、家に本はほぼ皆無(そもそも本棚がなかった・・・)、夜になると大人たちはビール片手にケーブルテレビのコメディーに見入って大笑い、というもので、とてもいい人たちでしたが、いろいろと思い出して重苦しいものが蘇ってきました・・・。

そして、映画を見てからそのまま重苦しい気分を引きずって新橋まで歩き、ジンギスカン(!)を食べてきました(初めて!)。生肉ラムを鉄板で焼くのですが、評判のいい店を調べて行っただけあり美味しかった・・・。
ちょっとレア気味の羊肉をバクバクと食べていたら、次第にやたらとワイルドな気分になってきましたが、羊にはなにかそういう効果があるのでしょうか。それとも、語感でしょうか。それとも、あの歌が頭の中で断続的に流れるからでしょうか(ジンギスカンについてはこんなページなど、多数存在→http://homepage1.nifty.com/igex/genghiskhan.htm)。それにしても、あれがドイツ語で歌われていたということも先日初めて知りました。どうりで小学生には分からないはずです。歌詞はここ→http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Guitar/5714/kasi1.htmなどにありました。やはり、すごい歌だったんですね。
しかし、「GENGHIS KHAN(ジンギスカン)」の部分を別の人の名前に、「wir sind Mongolen(我々はモンゴル人だ)」を別の国民の名前に変えるなどして考えてみると、かなり怖いものがあります。特にあんな映画をみた後だと・・・。