アトミック・カフェ

映画の日だ(昨日)!ということで、観て参りました、「アトミック・カフェ」(http://www.takeshobo.co.jp/movie/atomic/)@ユーロスペース

…いずれにせよ、ユーロスペースは会員になっているのでいつでも1000円なのですが(ちょいV.I.P気分・NIKITA風に…)。

オフィシャルページにあるとおり、

「今から見ると噴飯ものの、冷戦下40年〜50年代にかけてのニュースフィルムやアメリカ政府製作の広報フィルムだけを素材に、ナレーションを一切加えずに編集の妙技だけで見せ切る、クールかつブラックなエディトリアル・ドキュメンタリー。冷戦期から現在まで脈々と続く大衆プロパガンダの恐ろしさが、ノー天気なポップソングと政府広報フィルムのコラージュの隙間から立ち上ってくる。またその精緻な編集テクニックはその後のアメリカン・カルチャー全体に隠然たる影響を与えた。新しくはマイケル・ムーアが監督ケヴィン・ラファティを師と仰ぎ、この映画からの影響を公言している」。

…凄かったです。
既存の映像と音(楽)のみで構成して、ナレーションは一切なし、という方針だったため、制作に5年以上も(!)かかったということですが、非常に興味深い作品でした。
引用される素材も、ニュース映像からハンナ・バーベラのアニメキャラのようなものがちょこまか動き回るようなものまで、よくぞこんなの掘り返してきたものだと感心すると同時に、そこに被さるアトミック・ソング(?)の数々にはびっくりするようなものもありまして、思わず体が強張りました…。

時代的なものもあるのでしょうが、それにしてものあの能天気さ…!

広報フィルムというか、プロパガンダというか、そういった映像はその文脈から外れてみると、途端にトンデモ!な代物に見えることは多々あるかと思いますが、明確な意図とメッセージがバックボーンとなっているため、その映像自体の持っている強度にもまた凄いものがあります(例えば圧倒的な映像美を誇る『意志の勝利』…)。

森達也氏が、「善意と正義。この二つが世界を滅ぼす。この構造は今も変わらない。」という素晴らしいコメントを寄せていらっしゃいましたが、まさにそんな気分になりました。

なお、ヤノベケンジ氏の「トラやんの世界」も併映されておりまして、亀のバートとトラやんが並んで出てきます!