通りすがりの女に

先ほどから精根尽き果てへたり込んでいるので、ここで詩など一つ。


まずはイントロを演歌紹介のようにお読みください。



都会の街路を忙しく、今日も行きかう男と女。
どこから来てどこへ行くのか。すれ違いざまに心を奪われた瞬間が、同時に永遠の別れとなる定め。
そんな都会の恋は、最初の一目の恋ならず、最後の一目の恋なのです。


それでは聞いてください。

ボードレールで、「通りすがりの女に」。



気が遠くなるほど、街路は轟音に轟いていた
ほっそりと背が高く 深い悲しみのうちに厳かに
一人の女が現れた その指先には威厳あり
裾と裾飾りを持ち上げ振りながら


軽やかに そして 高貴に 彫像のような脚をして
私は読み取った まるで気が触れたように拳を握りながら 
嵐の故郷 彼女の瞳から 
優美さで縛りつけ 愛で彼女は命を奪う


閃光…それから夜! ああ 美しい人よ
私をたったひと目で 生まれ変わらせた
君に再び会うのは永遠の中でのみなのだろうか?


消えた、遠くへ、もう遅い、永遠に失われた!
君は私を知らない 私の名を君は決して呼ばない
私が愛したであろう君 そうと気づいたはずの君よ



…如何だったでしょうか。
ちなみに、こちらはゲオルゲによるドイツ語訳からの重訳ですのでご了承を。


なんというか、そろそろ魂が抜けて死にそうです。ポワーッと。