小金自慢
先日の「一箱古本市」の売り上げを、本日千駄木の古書ほうろうでようやく受け取ってきたのですが、「ちょっとお待ちください」と店の人が持ってきてくれた封筒に書いてあった数字がチラリと見えたときは一瞬自分の目が信じられませんでした。
午前中から勢いよく値下げなどもしたため、せいぜい全部で5千円もいけばいい、と思っていたのですが、なんと合計で38冊、9670円も売り上げていました!
これは絶対に誰かが計算間違いしたに違いない、と思い、取り上げられないうちに、と焦ってサインしてありがたく頂戴してきましたが、先ほど自分の部屋に戻ってじっくりと計算してみたところ、やはり9670円を確かに計上。驚きました。俄かに小金が入って大層気分が良いです。
せっかくですので、感謝の気持を込めて売り上げ一覧を書いておこうと思います。安い順に。
マーヴィン語録
先ほどの片隅でロボットはぱっと顔をあげたが、やがてその首をほとんどわからないぐらいにふった。のろのろと立ちあがるさまは、実際より二キロほど身体が重いかのようだ。それを見ていると、ただこちらに近づいてくるだけなのに、途方もない難事に雄々しく立ち向かっているのかと錯覚しそうになる。トリリアンの前で立ち止まったが、まるで彼女の左肩を透かして向こうを見ているようだ。
「先にお断りしておきますが、わたしはとても気が滅入っています」ロボットはぼそぼそと暗い声で言った。
〔…〕
「うっとうしいやつだと思ったでしょ?」みじめったらしい声で言った。
「なにを言うの、マーヴィン」トリリアンは快活に言った。「そんなこと思うわけないでしょ…」
「うっとうしいやつだと思われたくないんです」
〔…〕
彼はどんよりとまわれ右をして、重い足を引きずって部屋を出ていった。(『銀河ヒッチハイク・ガイド』安原和見訳 PP.123-125)
ふたつの太陽が暗黒の宇宙に燃える光を投げかける。そしてブリッジには陰気な曲が低く流れていた。マーヴィンがいやがらせにハミングしているのだ。彼は人間がそれほど嫌いなのである。
(同 P.161)
「あれはロボットなんてもんじゃない」アーサーが小声で言った。「どっちかって言うと、電子ふてくされ機ですよ」
「連れてきなさい」老人は言った。〔…〕
声をかけると、マーヴィンは斜面を這って登りはじめたが、実際には痛くもない脚をこれ見よがしに引きずっている。(同 P.208)
スチールのロボットが、冷たい土に突っ伏してじっとしていたのだ。
「マーヴィン!」彼は大声を上げた。「なにしてるんだ?」
「どうぞ、わたしのことなんか気にしないでください。」くぐもった暗い声がした。
「そんな、具合でも悪いのか?」フォードは言った。
「とても気が滅入っているのです」
「なにがあった?」
「わかりません」とマーヴィン。「いつだってわからないんです」
フォードはマーヴィンのわきにしゃがんで、震えながら尋ねた。「なんだって土んなかに顔を突っ込んでるんだ?」
「非常に効果的にみじめな気分を味わえるからです」マーヴィンは言った。「話をしたいふりなんかしないでください。あなたがわたしを嫌っているのはわかっているんです」
〔…〕(同 P.286)
- 作者: ダグラス・アダムス,安原和見
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/09/03
- メディア: 文庫
- 購入: 39人 クリック: 347回
- この商品を含むブログ (370件) を見る
- アーティスト: レディオヘッド
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1997/07/09
- メディア: CD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
パラノイドアンドロイド
せっかくの休みなのだからどうでもいい読書をしてやれ、と思って引き続き汚い部屋でゴロゴロしながら『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読みましたが、独特すぎるノリにようやく慣れてきたころには読み終わってしまいました。
去年公開された映画は観に行ったのですが(おもしろかった)、「原作の方が断然面白い!」「原作を読んでないとそもそも話にもならない!」などといろいろなところで読んだり聞いたりした気がするのでかなり期待していたのですが、読んでみたら、むしろ映画のままのような気が…。
マーヴィンの動向は気になりますが、続きを読むべきかどうか、悩むところです。
インピーダンス
今日は休日らしく、一日中汚い部屋でゴロゴロしながら届いたばかりの『おんなのこ物語』を読んでいました。
いやー、面白かった!本当にドロドロしている!ロック版モーツァルトとサリエリ、というのはまさに、と思いましたが、途中から、「マヤ…怖い子!」と呟く亜弓さんが仲尾にオーヴァーラップしてきました。
その(無自覚な)才能に周囲が食われるのを焦るところとか、愛憎入り混じる感じが『ガラスの仮面』に似ています。こちらでは誰も白目にならないのが大きな違いですが。
この漫画、登場人物の描きこみが凄いですね。しかも出てくる男も女も味わい深い人ばかりで全然飽きません。誰を主人公にしてもちゃんとした漫画になりそうです。
飛田(「これはおれがやりたかったんだ おれがやるんだ」「ほかのヤツに先をこされてたま…るか」と、八角たちの熱狂プレイ中にPAの電源を落として妨害する、某氏お気に入りのキャラ)もその徹底した雑魚キャラぶりが素敵でした。わたしもこの手のことをよく思うのですが(本当に思うだけ)、今後は誰かを妬むときには飛田を手本にしようと思います。
しかしいいですねえ、バンド!
わたしも妄想の中では早弾きベーシストと火花を散らしながらギタープレイを競ったり、竜を出したり、宮沢賢治の詩句を呟きながら究極の音色(トーン)を探したりしていますが、リアルギターのレパートリーはsmoke on the waterのリフとニルヴァーナのSmells Like Teen Spiritの一番最初のところだけなので(笑)、残りは全てエアで補うしかありません。
同じく傑作らしい『ブルームーン』も近いうちに読んでみたいと思います。
おんなのこ物語(ストーリー) (1) (ハヤカワコミック文庫 (JA835))
- 作者: 森脇真末味
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
ムシクイ
今日は以前から欲しかった食虫植物図鑑『世界の食虫植物』をようやく手に入れました。
- 作者: 食虫植物研究会
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
目次からして、「(特集)ギアナ高地の食虫植物」「閉じ込み式捕虫をする食虫植物」「吸い込み式捕虫をする食虫植物」「粘り着け式捕虫をする食虫植物」「(特集)ヨーロッパのPinguicula」「落とし穴式捕虫をする食虫植物」「誘い込み式捕虫をする食虫植物」「(特集)日本の食虫植物・自生地と保護」と、子供が読んだらそれだけで興奮して寝付けなくなること必至ですが、貴重な食虫植物の写真(オールカラー!)がたくさん載っていて素晴らしい本です。虫を食っているところや食った後の断面図などが載っているところもナイスです。
ものぐさだったためか単に触りすぎたのか分かりませんが、昔世話を任されたオジギソウをことごとく枯らしてしまってからはほとんど自分で草などを育てたことはありませんが、そのうちまた植物栽培などと洒落込む機会があったら、今度はやはりスタンダードなところでハエトリグサか、そもそも虫は好きではないので、捕らわれた虫を見なくても済むウツボカズラなどを育ててみたいものです。