カリカリサクサク(てんぷらが)

pansar2004-08-13

写真とは関係ありませんが、先日、有楽町シネカノンで『誰も知らない』を観て参りました。午後4時過ぎの回を観ようと思って12時過ぎに劇場へ行ってみたら、既に1時の回も4時の回も売り切れ、7時過ぎの最終回の立ち見のみということで、根性の(階段部分に座っての)立ち見。まあロードオブザリング・エクステンデッドエディション(約3時間40分?)を立ち見された方々(心から尊敬します)から比べれば、もう、特等席のセレブみたいなものだと自分に言い聞かせ、尻の痛みを紛らわせました。
例のごとくほとんど前知識なく(実際の事件を元にしているらしい、というくらいの知識で)観たのですが、観ながらフツフツと疑問が沸きながらも、役者の素晴らしさには心奪われました。柳楽優弥氏も噂どおりというか、予想以上の吸引力を持っていましたが、長女役の北浦愛さんも、そして木村飛影・茂( 好きな食べ物はポテト、サイコロステーキ、にこごり、もち、いなりずし、どん兵衛、宝物はゲーム、ねり消しゴム、カードだそうです!)も、グレイト。
すごくいい映画だと思いました。監督が撮りたかったものはおそらく充分すぎるくらい撮れているんだとも思いました。ただ、だからこそますます、「こんなんじゃないだろう」という違和感が大きくなって仕方ありません。斜め読みしたスウィッチのインタビューで監督自身も仰っていましたが(「子供の視点にはなれない」というような趣旨のことを)、「誰も知らない」はずの子供たちだけの世界を見つめるのは、どこまでも「こう見たい」という監督の視点からで、その見つめ方が丁寧で、作られたディテールや交わされる言葉が生き生きとしていればしているほどに、ますます違和感が増大して仕方ありません。それだけ、危機感を覚えるほどに、映画としてのクオリティーが高いということなのかもしれません。ただ、最後の方で被さる歌、、、どう考えてもない方がよかったと思うのですが、、、。歌詞入りの歌など必要ないほどしっかりと撮れているのに、残念でした。(観終わった直後に友人と、「ただ、ああいうのこそえてして本人が一番やりたかった!とか思っていた場面だったりするからね、、、」と話しましたが、実際そのようなので何も言えませんが、、、。あの歌を歌っているタテタカコさんという女性、映画でコンビニ店員を演じていたのですね。)
是枝裕和氏の作品、これまで一つも観たことがなかったのですが(これから観てみます!)、すごくいい人なのでしょうか。もしくは、すごく暗いものを持っていて、だからこそこういう風に撮った(もしくは、こういう脚本にした)んだ、とも言えるような気もしますが、、、。いずれにせよ、元になったという実際の事件(巣鴨子供置き去り事件)について読んだりして(はてなでも質問されていました→http://g.orera.hatena.ne.jp/1084766809)、ますますいろいろと考えてしまいました。この実際の事件のような結末だったとしても、こうした視点は破綻なく成り立つのでしょうか。映画の語られ方も、「子供たちの日常が」「子供たちの生活が」「子供たちの瞬間が」といったようなものが多いようですが、全ての映画においてあまりに自明の、「監督から見た〜」という部分が、意識的にか分かりませんが閑却されているような気がして、そういうところにも違和感が、、、。是枝監督の、「事件の最初と最後だけじゃなくて、その間の、子供たちの日常の瞬間瞬間を撮りたかった」というのは素晴らしいと思うのですけど。
などと、久々に長々と書いていますが、私はこの映画を見た帰り、コンビニでどん兵衛のてんぷらそばを買って食べてしまいました。おいしかった、、、、。